「鎌倉だより」のこだわり
<第27回神奈川県名菓展菓子コンクール最優秀賞受賞>
サブレはシンプル、だからこそ奥が深い。
3種類それぞれに、つくり方が違います。
シンプルだから、こだわりが味に出る。
まず、プレーン味をお試しください。袋を開けると香ばしく甘い香り。食感はさくっと言うより、パキっと軽やか。
生地づくりへのこだわりがないと、この風味は出せません。サブレの命である生地は、小麦粉とバターの練り合わせ。特にバターはコンディションが毎日のように変わります。たとえば寒い季節には、早めに冷蔵庫から取り出すなど、微妙な調整も必要。「焼き上がりを見ただけで、出来がわかる」と職人は言います。
シンプルな焼き菓子だからこそ、妥協ができない。その責任感が、おいしさの完成度を上げています。
小豆のために、あえて卵を使わない。
小豆と抹茶も、凝りに凝った作りです。
まず小豆ですが、材料から卵を外しました。これは小豆の風味をしっかりと立ち上げるための、「決断」と言えるもの。そもそも焼き菓子において卵は必須の素材、熱で膨らんだり固まったりと、便利な役割を担ってくれます。でも、卵+小豆だと卵の風味が勝り、焼き色もきれいなえんじ色になりません。そこで製造が難しくなっても卵を抜き、焼く温度もプレーンとは違う温度で仕上げています。
抹茶は、産地をひとひねり。
抹茶と言えば宇治が有名ですが、あえて愛知県西尾産を用いています。理由はそのほうがマイルドで、風味の角が取れるため。さらに練乳を加え、苦みとの調和をはかっています。抹茶味が苦手という人にも、自信を持ってお薦めしたい味わいです。
補足すると、着色料は不使用です。自然の素材だけで、ひと目でわかる色合いを生み出しています。
鎌倉の街を、見守る気持ちで。
鶴岡八幡宮の象徴だった大銀杏(おおいちょう)は、残念ながら倒れてしまいました。いま、鎌倉を見守ってきたその思いは、銀杏の葉をかたどった“鎌倉だより”が微力ながら引き継ぎます。
春の新緑、秋の黄葉。そうした色づく葉を思い浮かべながら、お召し上がりいただけますと幸いです。